TKP東京駅ビジネスセンター1号館(東京都中央区八重洲1-4-21)で11月9日、電子行政研究会第3回ワークショップ「オープンデータと行政・市民活動」が開催され、ラボ代表の杉浦が登壇、ゲストスピーカーを務めました。

このワークショップは、地域行政のオープンデータに関する取組を進めている実践者の話を聞き、オープンデータの活用方法や企業・地域社会にとってのメリットについてディスカッションすることが狙い。

ちなみにオープンデータとは、政府や公共機関が保有する情報を民間企業などが利用できるよう一般に公開することで、電子行政戦略の新たな柱として注目されて言いるそうです。・・・難しいけど大事そう。

杉浦は、横浜コミュニティデザイン・ラボの活動や横浜の地域情報化の現在の動きを紹介。「ヨコハマ経済新聞」や「かなマグ.net」などのWEBメディアを通じた情報発信の事業や、横浜市経済局と展開している「ソーシャルビジネス普及事業」、市内のコワーキングスペースの状況や、商店会や自治会などの地縁のコミュニティや行政のコミュニティなど地域の異なるセクターを結びつけるエリアマネジメントの取り組み事例などを紹介。今年度からはじめた「政策デザイン勉強会」についても話をしました。

研究会では、産官学が共同でオープンデータ流通環境の実現に向けた基盤整備を推進することを目的として2012年7月に設立された「オープンデータ流通推進コンソーシアム」の事務局を担当している三菱総合研究所 社会公共マネジメント研究本部の村上文洋さんが「公共データのオープン化は社会や企業にどのような影響をもたらすのか」について、横浜市政策局政策課の関口昌幸さんが「横浜市におけるオープンデータへの挑戦」についてお話をされました。

村上さんは、気象・地質情報等を活用した保険ビジネスなど、ビジネスの創出事例を挙げ、今後オープンデータをさらに推進していくためには、データの公開度合いに応じて体系的な取り組みが必要だと言っていました。つまり、そもそもデータが公開されているのかいないのか、公開されているのであれば、入手しにくいのか、入手しやすいが使いにくいのか、といったことを段階的に分けて考える必要があるということですね!

また、関口さんは、超高齢化・人口減社会の中で、紙媒体ではなく「いつでも、どこでも、誰でも」情報が得られるユビキタスな情報提供システムの必要性について述べたあと、具体的に買物難民に対する支援を行う社会起業家らへの統計データの提供や、横浜市内のコミュニティカフェなどを例にとり、公的データ流通による地域での新たな産業創出の可能性についてお話されました。その地域に住む人たちにどんな消費の特徴があるのかデータでわかれば、新しいサービスも提供しやすいですよね。

その後のディスカッションでは、まず、横浜におけるオープンデータの流通を推進していくことを目的に設置される「横浜オープンデータソリューション発展委員会」の今後の活動の展望についての紹介があり、その後に、参加者同士で多くの活発な意見が飛び交っていました!

「データとインフォメーションは違う。インフォメーションの情報流通基盤とデータの流通基盤の2層構造で考えなければならない」
「行政が扱うビッグデータと地域が欲するインフォメーションのミスマッチをなくす工夫が必要だ」
「地域のコミュニティカフェや、各区にある図書館などはミスマッチを解消する機能になりえる」
などなど。皆さん頭が冴えまくりです!

今回参加させていただいて思ったことは、「オープンデータ」とはただデータを公開して見える化するだけでは駄目で、情報がほしい人にわかりやすい形で届いてはじめてオープンだと言えるということです。データを編集して様々な人のニーズに応える、そんな百貨店のコンシェルジュ的な機能が必要なのだなと感じました。

ともあれ、今後のオープンデータ化に向けた取り組みは要チェックです!

【参考リンク】
▽電子行政研究会
第3回ワークショップ(勉強会)「オープンデータと行政・市民活動」
http://www.egyousei.jp/seminar/w03/index.html

▽オープンデータ流通推進コンソーシアム
http://www.opendata.gr.jp/

▽横浜オープンデータソリューション発展委員会 キックオフイベント 「横浜から発信!オープンデータと対話で創造する新しい公共」(11月24日開催)
http://www.facebook.com/events/379432098805158/

ラボインターン 伊藤