横領等の犯罪や、自殺などの悲しい出来事の背景に「ギャンブル」による借金や家庭不和などがあることは、新聞記事の数行に見かけることはあるものの、社会の構造に因るというよりも「一部の個人の特異な事件」、他人事としてとらえている方も多いのではないでしょうか。

今回の政策デザイン勉強会では、こうした社会的にリスクの高い行為をしてしまうギャンブラーが、実は「ギャンブル依存症」という「病気」であることの認識を広め、そうした方々の治療・予防教育体制の整備を推進している一般社団法人「ギャンブル依存症問題を考える会」(東京都中央区)代表の田中紀子さんをお招きします。

▽ギャンブル依存症問題を考える会
http://www.gamblingaddiction.jp/

田中さんは、祖父・父・夫、そしてご自身もギャンブル依存症になり、「人生の底」まで行き着いて、そこから生還したサバイバー(生存者)です。

苦しむ最中に「12ステップ」
http://www.gajapan.jp/jicab-programofrecovery.html
に出会い、ゆっくりと自分を見つめ直し、天職となるギャンブル依存症者と家族の「介入者」(インタベンショニスト)になっていくプロセスは、2015年5月に出版されたばかりの「祖父・父・夫が ギャンブル依存症! 三代目ギャン妻の物語」に詳しいです。
http://goo.gl/wjejK4

ギャンブル依存症は、ドーパミンなどの脳内で分泌される化学物質のコントロールがきかないことによってかかる「病気」です。医療的な対処が必要であり「根性」や「心がけ」では治らないとされています。

いわゆる「カジノ法案」がとりざたされている最中、「ギャンブル依存症」に対する関心は高まっています。

ただ、田中さんはカジノ云々以前に、日本が諸外国に比してすでに「ギャンブル天国」であると指摘、「FX=外国為替証拠金取引」やスマートフォンでできるゲームなども広義の「ギャンブル」としてとらえ、それらに子供や若者がはまり、「依存症」が増加していくことを危惧しています。

今回の政策デザイン勉強会では、ギャンブル依存症についての知識と、その予防・治療のための社会環境整備について、どのような政策が必要であるのか、田中さんの活動・体験を通して学びます。そのうえで、横浜という都市からできることは何か、考える機会としたいと思います。

【田中紀子さんプロフィール】
ギャンブル依存症問題を考える会代表。インタベンショニスト。ギャンブル依存症者の祖父、父、夫を持つ三代目ギャンブラーの妻。夫と共に、ギャンブル依存症の問題から⽴ち直っていった経験を伝えていきたいと、2010年からカウンセラーとなり、ギャンブル依存症の問題を持つご家族からの相談に対応している。2015年までの5年間で300人以上のギャンブル依存症者とその家族の支援に関わる。また、家族問題や女性がどのように生きるか、トラウマや悲しみと和解するためのグリーフワークなど、数々のワークショップを主催している。

<実施概要>
日時:9月7日(月)
場所:さくらWORKS<関内>
参加費:1,000円
主催:横浜コミュニティデザイン・ラボ
協力:ギャンブル依存症問題を考える会

<政策デザイン勉強会とは>
様々な主体が、地域の具体的な課題や国内外の情勢を知り、未来の街の姿を広い視野でとらえ、政策決定のプロセスに市民が参加していくための仕組みや仕掛けを考えるための勉強会。横浜コミュニティデザイン・ラボが2012年5月から不定期に開催しています。
http://on.fb.me/X40lkt