8月29日(火)に泰生ポーチで、政策デザイン勉強会を開催します。 テーマは「データの力で横浜市民のシビックプライドの醸成する」。

横浜は中世や近世に貴族や大名がその礎を創った他の大都市と異なり、幕末開港を機に集まった市民(横浜商人)が自らカネと知恵を出し合い、みんなで創り上げた都市です。だから横浜には行政権力の象徴として「城」ではなく、市民が世界に開いた「港」があるのです。

それゆえ今でも多くの市民が海と港を横浜のシンボルを考え、「横浜」という都市を心の底から愛しています。例えば横浜市が平成28年度に実施した横浜市民意識調査でも約8割の市民が横浜に対して誇りや愛着を感じていると答えています。

一方で住まいの周辺の身近な地域に対して愛着を感じている市民は6割に過ぎません。また近年、市民の定住意向は下がり続け、東京を始め、隣接する他都市へと人口が流出する傾向にあります。

こんなことから、横浜市の人口は2019年から減少に転じると予測され、さらに2025年には65歳以上の高齢者が約100万人となり、30歳代、40歳代の市民は、2010年の人口をベースにして約25万人減少すると推計されています。

このように今後、超高齢・人口減少社会が急速に進む中で、自分の住まう地域に愛着や誇りを持ち、さらには地域のまちづくりに積極的に参画する市民が増えていかなければ、人口減少に拍車がかり、街はスラム化し、地域経済も衰退していくことが危惧されます。仮にこの市民の地域(都市)に対する誇りや愛着を「シビックプライド」と呼ぶのなら、今の横浜において、市民がお互いにシビックプライドを育て合っていくことは、横浜商人たちがこの都市をつくり始めた時に匹敵するぐらい急務なのではないでしょうか。

私たちは、そのためには、まずシビックプライドの礎となる横浜の地域(都市)の魅力や資源をデータに基づいて可視化し、より多くの市民と共有することが大切であると考えています。そのうえで地域の資源や魅力を活かして横浜の街づくりをどのように進めていくのかを、多様な市民主体が参画する対話の場を創出することで、導き出して行きたいと考えています。
とは言うものの、現在の横浜市の人口は約373万人。いくら、これから超高齢化と人口減少が進むと言っても、他の政令市と比較して飛びぬけて多くの市民が住んでいる都市です。また地域によって資源も魅力も様々であり、その全貌を掴むのに非常に骨が折れます。

例えば、横浜市域は、自然地形や歴史文化、道路交通ネットワークなどによって、東部、南部、西部、北部と4つの都市圏(圏域)に別けることが出来ます。そしてそれぞれの圏域が80万~100万の人口を抱えているため、いわば4つの政令市の集合体のような様相を呈しています。さらにそれぞれの圏域が4~5の行政区に分割されると共に、市域全体で145の中学校区と338の小学校区を抱えています。

このような多層的で複雑な都市構造を踏まえた上で、横浜の地域の資源や魅力を、いかにデータによって視える化し、多様な民間主体と共有するのか?また、それによって、市民がいかにシビックプライドを育って合っていくのかを今回の政策デザイン勉強会では考えます。

なおこの勉強会の成果は、9月22日(金)にYahoo! JAPANのコワーキングスペース「LODGE」(東京都千代田区紀尾井町)で開催される「シビックパワーバトル」(主催:シビックパワーバトル実行委員会)や、「チャレンジ!!オープンガバナンス2017(COG2017)」(主催:東京大学公共政策大学院「情報通信技術と行政」研究プログラム(PadIT))の場での発表に活かして行きます。また、そこでの発表者もこの研究会の場でも募集しますので、みなさん是非にご参加ください。

<実施概要>
日時:2017年8月29日(火) 18:30〜20:30
場所:泰生ポーチ(横浜市中区相生町2)
課題提起:関口昌幸氏(横浜市政策局共創推進課 共創推進室)ほか
参加費:無料
申込:以下のfacebookイベントで「参加する」を押していただくか、info@yokohamalab.jpまで件名に「8/29参加希望」と書いてメールでお送りください。
https://www.facebook.com/events/1794939677463634/
※終了後に懇親会を開催します。

【参考】
▽シビックパワーバトル
オープンデータなどを活用し、今まで埋もれていた、今まで知らなかった「まち」の魅力を発掘し、地域の魅力発信を行うことにした。市民や団体、民間企業が協働し、首都圏広域の自治体がそろうことで、あらたな魅力発信の仕組みを創る。
参戦自治体は、流山市、さいたま市、横浜市、千葉市、川崎市(参戦順)の5市。
「住む」「遊ぶ」「働く」の3つのテーマで、それぞれの市民代表がまちの魅力を3分でプロモーションする。それに対し、他の市が反対意見や自市の優位性をアピールする。バトル形式のため、審査を経てグランプリ自治体を決定。審査ポイントは、他都市との優位性のほかに、自治体との連携度、活用するデータの整合性、プロモーションする市民の活動なども加味される。
いよいよバトルは、2017年9月23日(土、祝)乞うご期待!!
https://www.facebook.com/civicpowerbattle/

▽チャレンジ!!オープンガバナンス2017(COG2017)
チャレンジ!!オープンガバナンス2017(COG2017)」(主催:東京大学公共政策大学院「情報通信技術と行政」研究プログラム(PadIT))は、市民/学生と行政が協力し、新しい発想で地域の創造に挑戦するコンテスト。
http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/padit/cog2017/

▽【緊急フォーラム】 5/10 横浜から発信する官民データ活用とオープンイノベーション(当日投影・配布資料)
http://yokohamaopendata.jp/2017/04/23/0510forum/

*「政策デザイン勉強会」について
様々な主体の連携により、地域の具体的な課題や、課題解決のための国内外の先進的な政策の情勢などを知り、未来の街の姿を広い視野でとらえ、政策決定のプロセスに市民が参加していくための仕組みや仕掛けを考えるための勉強会を不定期に開催しています。
http://bit.ly/seisakudesign