8月からワークショップなど展開
NPO法人横浜コミュニティデザイン・ラボが提案したアートプロジェクト「詩で紡ぐ地域の記憶『臨場〜私の中の横浜を詠う』」が、「ヨコハマアートサイト2025」に採択されました! 市民の方たちとともに、「パーソナルな場にまつわる言葉」を可視化して、横浜の街に新たな価値と温かい繋がりを生み出す場づくりをめざします。
✨ 「臨場〜私の中の横浜を詠う」が目指すもの
本プロジェクトは、個人の記憶とまちの風景を詩でつなぎ、孤立や喪失にそっと寄り添う“ケアのアートプロジェクト”です。市民ひとりひとりが抱えながらも「語られにくい個人の悲しみや喪失の記憶」について、私たちは、市民一人ひとりが横浜の「ある個人的に記憶しておきたい場所」から生まれる感情を、詩や手紙といった言葉のかたちで表現することを、ワークショップ等を通じて促していきます。
私たちが目指すのは、ただ「作品を作ること」だけではありません。表現されたそれらの言葉を、都市空間にアーティストの手による「詩の壁(Poetry Wall)」で展開し、ゆるやかに共有することを目指します。まちなかに詩が立ち現れるような時間を作ることで、この「詩の壁」は公共空間に共感の回路を開き、まち全体を“ケアの空間”へと導く「触媒」となると考えています。
アラン・ケラハーが提唱する「コンパッションシティ」の概念にあるように、これからのケアは専門家だけが担うものではなく、隣近所・学校・職場など、多様なコミュニティ・つながりの中で適時に適切な支援が必要な時代になっています。
コンパッションシティが成熟していくことで、「社会的孤立」はわずかでも避けられるのではないでしょうか。
しかし、人はある場や時間が設定されなければ、その心の傷みや喪失を発露することが難しいものです。
私たちは、誰もが“ひとり”で抱えている悲しみや想いを言葉にすること、それを他者とゆるやかに共有することを通じて、地域に小さな繋がりを生み出すことを目指します。誰もが「語ってよい」「聴いてもらえる」と感じられる環境を育むこと。これこそが、喪失や孤独をひとりで抱え込まずにすむ、共感と連帯の「コンパッション・コミュニティ」の芽となると信じています。
📌 プロジェクトの背景にある、切実な想い
横浜市では今後、これまでの予測通りに高齢化と単身化が急激に進行し、2035年以降には死亡者数・単身世帯数ともに大幅な増加が見込まれています。これは、誰もが孤立や身近な人たちとの別れに直面する「喪失の時代」を迎えることを意味しています。個人の悲しみが語られずに抱え込まれ、誰にも気づかれないまま放置されることが深刻な地域課題です。私たちは、こうした都市の孤独に対し、詩が持つ力で何ができるのかを、微力ながらもこの横浜で探っていきたいと考えています。
🗓️ 実施スケジュール
プロジェクトは、以下の流れで進行する予定です。
- 7~8月:市民参加型詩作・朗読ワークショップの開催(全4回)
横浜にまつわる風景や記憶をテーマに、詩作や朗読の楽しさを体験していただきます。表現が苦手な方でも安心して参加できるよう、手紙形式での記憶の掘り起こしから始め、段階的にサポートいたします。女優の渡辺梓さんに朗読の指導をしていただく予定です。 - 9月〜10月:詩・手紙のWeb公募と、まちなかポスト設置
ワークショップと並行して、プロジェクト公式サイトでのWeb公募や、横浜市内に設置する「まちなかポスト」を通じて、市民の皆様から幅広い詩や手紙を募集します。 - 11月〜12月:「詩の壁」の出現
寄せられた言葉の数々をアーティストが編集・構成し、「詩の壁」として横浜の街中に出現させます。横浜の公共空間に立ち現れる詩の言葉は、誰かの大切な記憶を他者とつなぎ、まち全体を“ケアの空間”へと変えていくでしょう。
🤝 強力なパートナーシップと共に
本プロジェクトは、長年にわたり横浜を舞台に活動を続けるアーティストの稲吉稔さん(美術家)と渡辺梓さん(女優・朗読家)が中心となり活動されている「一般社団法人似て非works」のお2人とともに、走っていきます。地域に根ざした創造の場づくりや、廃材活用、地域交流を推進されている2人のアーティストとの協働により、より深く心に刻まれる体験と地域への貢献を目指します。
🌟 今後の展望
「臨場〜私の中の横浜を詠う」は、詩とアートの力で、都市に暮らす人々の内なる声に光を当て、共感と支え合いの輪を広げる試みです。横浜が、誰もが安心して生きられるコンパッション・コミュニティへと発展していくための重要な一歩としてこのプロジェクトに関心ある市民の皆様、団体の方たちの積極的な参加を心よりお待ちしております。
ヨコハマアートサイトとは
ヨコハマアートサイト(横浜市地域文化サポート事業)は、地域課題に対して文化芸術の持つ創造性でアプローチし、地域コミュニティに寄与する取組に助成する取り組みです。
助成以外にも、広報誌「季刊ヨコハマアートサイト」の発行、ウェブサイト・実施レポート等による広報や、まちづくり等さまざまな分野と文化芸術の関わりについて意見交換を行う研修等により、参加団体をサポートがあります。
STスポット横浜、横浜市にぎわいスポーツ⽂化局が事務局を担当しています。
https://y-artsite.org/