こんにちは。
横浜コミュニティデザイン・ラボ理事の宮島真希子です。

本日、2017年4月12日、横浜コミュニティデザイン・ラボが入居する泰生ビル307号室(横浜市中区相生町3-61)に設けたソーシャルインクリュージョン拠点「アンブレラ関内」に、学びにくさを抱える高校生たちに伴走し、持つ能力を引き出す教育をミッションとする「明蓬館高校・神奈川中央キャンパス/横浜・関内SNEC」(日野公三校長)が開校しました。

支援して下さった皆様に改めて御礼を申し上げます。生徒6人(新入生4人、転入生2人)が新たに学びのスタートを切りました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

SNECは、スペシャル・ニーズ・エデュケーションセンターの略称です。特別なニーズを持つ子どもたちのための教育を実施し、可能性を伸ばす場として同高校が2013年4月に品川・御殿山SNEC (東京都品川区)を開校したのを皮切りに、サポート学習拠点を全国12カ所に展開しています。

横浜・関内SNEC開設のきっかけは、横浜市在住の日野公三先生が「SNECの輪を広げていきたい」という思いをFacebookで披瀝されていたことでした。自閉症スペクトラムや読み書き障害(ディスレクシア)などいわゆる「発達障害」の子どもたちは年々増えています。

それはかつて「学習を理解する能力がない」「落ち着きがなく歩き回る」としてしか認識されなかった子どもたちが、医療や心理学の発展によってその特性が把握されるようになったこともあると思います。そうした「学びにくさを抱える子どもたち」は、画一的な授業のスタイルでは「お荷物な存在」「浮いた存在」として扱われ、そのつらさに不登校状態になる子どもも少なくありません。

特に、義務教育以降、こうしたコミュニケーション特性を持つ子どもたちの「個別支援」について公教育はまだまだ対応できていません。私学と保護者とが、新たな学びのスタイルを作っていかなければならない状況です。

開所式であいさつをするひのこうぞう校長

明蓬館高校神奈川中央キャンパス「横浜・関内SNEC」開所式で挨拶をする日野公三校長(写真提供・鈴木太郎さん)

日野先生がスタートした「高校教育における特別支援教育」はその「新たな学びのスタイル」構築へのチャレンジです。

そうした状況を知りつつ、この泰生ビル307号室が空いたことを知ったのは2015年の夏ごろでした。私の子どもも「特別な支援ニーズをもつ子ども」であるので、高校以降の進路を考えることは自分の問題でもありました。

ただ、改装が必要であること、どこから手を付けていけばいいのかわからないということだけがあり、最初の半年はいたずらに時が過ぎていってしまいました。泰生ビルオーナーの泰有社・伊藤康文さんには、空室のまま半年以上も待っていただきました。満室が続いていて、空いたらすぐに次の人たちが通常なら有り得ないことです。

短期的な収益が大切なのはもちろんですが、それだけではなく、この街に必要なことを考えて共感してくださる方がビルオーナーの方の寛容性・柔軟性が、入居者の多様性を育むのだということを、私自身が体験しました。

その間、「明蓬館高校のカリキュラム・仕組みを活用し、横浜コミュニティデザイン・ラボが運営する」という当初計画から、「横浜・関内SNEC」は、明蓬館高校の直営として運営することに変更しました。私たち横浜コミュニティデザイン・ラボは、「横浜・関内SNEC」の周辺に、生きづらさ・学びづらさを抱えた子どもたち・その保護者が行き詰まった気持ちを受け止められるコミュニティをつくることに力を注ぎたいと思います。

また、さくらWORKS<関内>のシェアオフィス会員のプロフェッショナルな方達の力が、どうしたらいいかわからず躊躇していた私を後押ししてくれました。建築家の古市久美子さん、照明デザイナーの久保隆文さん、Tシャツクリエイターの井上薫さんは先行き不透明ながらも「お金は後でもいい、まず子どもたちのための場をつくろう、考えよう」と手を動かし、積極的にアイデアを出して下さいました。

ほこりの出る解体作業を手伝って下さったボランティアの皆様、馬場紀彦さん、山下大地さん、本 秀樹さん、橋本諭さん、中村亮さん、相澤毅さんと奥さま、沖田幸一さん・ゆかりさん、木南英夫さん、増田恒夫さん、中村智子さん(&ゆきちゃん)ありがとうございました。そのほか、板を1階から4階に挙げたときには、濱田健吾さんほか、オフィス会員の方々が助けて下さいました。お仕事の手を止めてしまって申し訳ございません。

アーティストであり大工仕事もプロである椎橋良太さんの技とスピード、アイデアは驚くばかりで温かい空間が短期間に収まりよくできたことは椎橋さんの力です。

そしてもちろん、LOCAL GOOD YOKOHAMAのクラウドファンディングで支援をしていただいた皆様、横浜コミュニティデザイン・ラボ理事のみなさん、情報をシェアしてくださった方々など、数え切れない方達の「一つのアクション」がつづれ織りのように合わさって、アンブレラ関内はできあがりました。

支えてくれた横浜コミュニティデザイン・ラボの杉浦裕樹さん、中村亮さん、小泉学さん、インターンの真間憲一郎さん、退職してしまったけれど、入院期間中に支えてくれた笹川希望さん、ありがとうございます。

地域に支えられた場所として、新しい学びの循環を、さらにみなさまの力をお借りして育んでいきたいと思います。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

※クラウドファンディングのリターンを5月中旬までにはお送りしたいと準備を進めております。
また、応援して下さった方をお招きしたお披露目会を企画しております。いましばらくお待ちいただけましたら幸いです。