【プレスリリース】「日本初の国際裁判　マリア・ルス号事件から150年」トークイベントプレスリリース

今年は日本初の国際裁判となった「マリア・ルス号事件」から今年で150年。
明治5（1872）年航海中の悪天候から帆先を破損、修理のために横浜港に入港したペルー船マリア・ルス号での事件。同船の中で奴隷として過酷な扱いを受けていた清国（中国）人が、海中へ逃亡し助けを求めた。
他国の海上で行われた犯罪は日本政府の所轄なのか。神奈川県庁に設置された大江卓を裁判長とする特設裁判所で、神奈川県権令（県副知事）大江卓は、清国人救出のため法手続きを決定。港内での乗客虐待に対する厳重処罰として清国人の解放を条件にマリア・ルスの出航許可を与えた・・・
国際間の関係が複雑化している今この時代に、かつて戦後に国内の法制度も十分でない中で、自国の利益ではなく人道支援のために、初の国際裁判を起こした人が神奈川県、横浜にいたことに、150年を機に今一度見つめられる機会を作りたいと、横浜でこれまで「マリア・ルス号事件」をテーマに表現をしてきた平沼五郎成基（俳優／会社代表）・山崎洋子（脚本家／小説家）・五大路子（女優）が集います。

■イベント概要

「日本初の国際裁判　マリア・ルス号事件から150年」トークイベント
日時　2022年9月10日(土)　16時～18時
場所　泰生ポーチフロント（横浜市中区相生町2-52）・ウェビナー・YouTubeライブ
登壇者　（会場）平沼五郎成基・山崎洋子・（オンライン）五大路子
参加費　無料（会場参加は予約優先定員20人・オンラインは無制限）
共催　横浜卓囲会　横浜コミュニティデザイン・ラボ　／　協力　横浜夢座

公式サイト　https://yoko-hama.hp.peraichi.com/marialuz

■プログラム

〇プロローグ　マリア・ルス号事件　あらまし

〇エピソード1　マリア・ルス号事件を描いた作品1（トーク=平沼五郎成基）
・横浜開港150周年記念「マリア･ルス号事件」（2009年）
・マリア･ルス号事件製作委員会、プロデューサー：平沼成基

〇エピソード2　マリア・ルス号事件を描いた作品2（トーク=五大路子・山崎洋子）
・「KAIHORO!會芳樓」（2002年）
・横浜夢座、プロデューサー：五大路子　脚本：山崎洋子

〇対談　マリアルス号と神奈川川県権令大江卓
（トーク=平沼五郎成基・五大路子・山崎洋子）

〇フリートーク　と　質問タイム
（トーク=平沼五郎成基・山崎洋子）

■マリア･ルス号事件とは・・・

　明治5年（1872）、夏のある夜、横浜沖に停泊していた英国軍艦が、海中に漂う1人の男を救助した。瀕死の男はモクヒンという清国人で、座礁して横浜に錨を下ろしたペルー船、マリア・ルス号からの脱走者だった。この船の底には200人を超す清国人が閉じこめられていた。騙されて奴隷にされ、マカオからペルーへと連れて行かれる途中だったのである。

　彼らを救うべく、裁判が始まった。しかし日本の司法制度はまだ発展途上。しかもペルーは日本と条約を締結していない国。困難な状況の中で、ペルー側はベテランの英国人代弁人(弁護士)をたててきた。対するは、裁判の途中で神奈川県副知事となった大江卓。彼は弱冠25歳だったが、神戸の外国事務所で海外事情を学んでいた上、部落開放にも尽力した人権派だった。あの手この手で攻めてくる相手と、ドラマティックに闘い抜く大江。ついにロシア皇帝まで登場し、日本初の国際裁判となる。大江はこれに見事、勝利し、清国人全員を船から助け出したのである。横浜の清国人たちはこの裁判に深く感謝し、大江と外務卿の副島種臣に大杯を贈っている。（「横浜タイムトリップガイド」より、文：山崎洋子）

▽開港150周年の歴史地図本「横浜タイムトリップ・ガイド」が発売に　https://www.hamakei.com/headline/3524/
ヨコハマ経済新聞（2008.10.06）

■登壇者・プロフィール

〇平沼五郎成基
1980年4月26日生。株式会社五六代表取締役。2017年に創業者である祖父五郎の名を襲名した。2009年、横浜開港150周年記念公演『マリア・ルス号事件』にてプロデューサー、脚本、主演を手掛ける。先祖代々400年以上に渡って住む横浜を愛し、横浜が誇るべき大江卓を1人でも多くの市民に知ってもらうための顕彰活動を行う横浜卓囲会を設立予定。
https://yokohama-now.jp/home/?p=20338

〇山崎洋子
1947年8月6日生。コピーライター、児童読物作家、脚本家を経て1986年、第32回江戸川乱歩賞を「花園の迷宮」で受賞。小説、ノンフィクション、舞台脚本、エッセイなど多数。2010年、NHK地域放送文化賞受賞。最新刊「女たちのアンダーグラウンド　戦後横浜の光と闇」（亜紀書房）。横浜市在住。
https://blog.goo.ne.jp/yokohamaneko

〇五大路子　
横浜市出身。桐朋学園演劇科に学び、早稲田小劇場を経て新国劇へ。NHK朝の連続テレビ小説『いちばん星』で主役デビュー。1999年に横浜夢座を旗揚げする。主な受賞歴に、1996年：ひとり芝居『横浜ローザ』で横浜文化奨励賞受賞、2012年：横浜文化賞2015年：神奈川文化賞、2018年：東久邇宮文化褒賞、2021年：地域文化功労者表彰（文化庁）
https://ameblo.jp/godaimichiko/

■経緯とコメント

<経緯>
横浜開港150年の年にマリア・ルス号を描いた舞台をプロデュースした平沼が、マリア・ルス号事件から150年となる節目に横浜の出来事としてより知られるようにできないかと考えた。これまでに同事件に光を当ててきた横浜の表現者（山崎・五大）たちと共に振り返ることで、理解を深める機会としたい。

<平沼コメント>
「今年は日本初の国際裁判、マリア・ルス号事件が150周年（※結審は新暦9/16）です。横浜の住民ですらほとんどの方に知られていませんが、市民のほとんどが歌えるという横浜市歌並みに知られるべき、そして誇るべき事件なので、少しでも多くの方に知っていただきたく地道に活動しております。現在、平沼が長髪＆ひげなのはこのマリア・ルス号事件を解決した大江卓をモデリングしているためです」

※https://www.seiunkai.net/images/library/ronbun/2011/2011_1.pdf

明治5年（1872）旧暦8月14日（新暦9月16日に相当）に契約無効の判決

大江卓（左）と、大江卓をモデリングした平沼五郎成基