ラボが2011年3月より情報支援のサポートをしている、「かながわ東日本大震災ボランティアステーション」の事業報告会が行われました。
4月より会員となった、池田智恵さんの参加レポートです。
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かながわ東日本大震災ボランティアステーションは5月26日、かながわ県民センター(神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町2-24-2)にて、事業報告会「みちのくへ届け、かながわの想い」を開催しました。同イベントには、学生から年配のボランティア経験者まで、150名を超す人々が集まり、平成23年度の事業報告および、24年の事業についての説明が行われました。
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第1部は神奈川県立かながわ県民活動サポートセンター所長の松田宏一さんの開会挨拶から始まり、今後の支援についての包括的な説明が行われました。
かながわ東日本大震災ボランティアステーション事務局長の森清一さんからは、会計報告とともに、平成23年度のボランティア活動の報告がありました。スライドによる写真での紹介も交えながら、ボランティアバス、金太郎ハウスなど、これまでの事業を細かに振り返るものでした。
その後、事務局代表の植山利昭さんから、24年度の事業に関する活動方針と位置づけが語られました。平成24年度の支援として、「被災地復興の継続支援、神奈川の防災力強化を引き続き二本柱に続けていきたい」と話しました。
岩手県遠野市にある、神奈川県の運営するボランティア宿泊施設「かながわ金太郎ハウス」の紹介では、同市在住の現地スタッフ・鈴木理美さんが地元である現地での様子を語り「これからも遠野の金太郎ハウスを利用して、多くの方にボランティア活動に来てほしい」と締めくくりました。
各担当者による、平成24年度の事業に関する具体的な説明は、昨年度から引き続き活動する、「ボランティアバス」事業のチームリーダー谷永誠さんと、谷本恵子さんによる平成24年度の事業計画から始まりました。「現地のフェーズは日々移り変わっています。活動初期から行っているがれき撤去や側溝の清掃も今後も続けていきますが、仮設住宅支援料理作りや小物作りなど講座型の支援、一次産業の復興支援など、現地調査や話し合いの上でさまざまな支援の形を考えていきたい」と話しました。人材育成活動や、ボランティアから観光に結びつける現地キャラバンツアーなども、新しい取り組みとして紹介されました。
次に「みちのく絆めぐり事業」について、事務局の岩見弥生子さんから説明がありました。「みちのく絆めぐり事業」は7000人を超えるボランティアバス参加者が、気仙沼、女川などでつないだ人と土地の縁を、今後も生かしていくことを目標としています。具体的には、神奈川の参加者と現地の交流促進、持続的な基盤づくりと地域観光のエンパワメントが目的として挙げられました。「ボランティア活動にプラスして、農業・漁業体験などのグリーンツーリズム、こども同士の交流イベントなどを考えている。現在『おおつちロックフェスみちのく絆バス』(仮)という企画が進行していて、これは2泊4日の活動の中に、海岸清掃などのボランティア活動と、ロックフェスティバル・花火大会ボランティア、大槌町見学などが盛り込まれています」と、新しい事業の企画を紹介し、第1部が終了しました。
10分の休憩をはさんだ後、「産業復興支援事業」について事務局ボランティアの大井太さんから説明があり、平成23年度の事業として4000匹のサンマを焼いた「南部市場まつり」や、100人のボランティアが現地のお祭りのサポートをした「女川町商店街復幸祭」などが紹介されました。また、4月に行われた「第1回東日本大震災企業・団体シンポジウム@かながわ」での企業・団体交流の様子などが語られました。大井さんは「作った、獲ったはいいけど、得る場所がない。相談相手もいないという事業者を、PRイベントや物販イベントの開催、協力などで支援していきたい。企業・団体シンポジウムも今後も続けていくつもりです。多くの企業がつながることによって、より豊かな支援がはじめられると思います」と話しました。
次に、「教育・こども支援事業」事務局の石田真実さんから、NPO法人カタリバの後方支援の状況、放課後教室に使用するプリントの作成など、神奈川から行える支援の様子、大槌、神奈川の子どもの交流の場作りなどについて説明。現地で子どもとふれあった経験から、教育支援の必要性を語りました。「現地の子どもたちはほんとうに普通の明るい中学生で、この子たちが被災しているということを忘れてしまいます。だけど、ふとしたときに、『うち流されちゃってさ。水門の近くだったから』と話したりする。そうかと思うと、『高校に行って大学に行って立派な大人になって大槌を立ち直らせる」と言ったりします。そういうことを考えるきっかけを作ることにはすごく意味があります。子どもたちは、大人が自分たちのためにがんばっているのを感じるのです」と、現地の子どもたちの様子を伝えてくれました。
最後に、「県内避難者支援事業~寄りそい隊」について、神奈川災害ボランティアネットワーク(KSVN)の高松清美さんより説明がありました。県内に避難している被災者の孤独死などをふせぐために作られた「かながわ避難者見守り隊」が設立されるまでについて解説の後、今年度は「寄りそい隊」と形を変えて活動すると言い、「今後はほかの団体と連携して活動していきたい」と話しました。
なお、かながわ東日本大震災ボランティアステーションでは、報告会内で発表された、各事業のボランティアメンバーを、こちらのページで募集しています!
発表後の質疑応答も盛り上がりを見せ、あまり活動について知る機会の少ない、「神奈川の年配者にどう関わってもらうか」や「他団体・他県との情報交換を充実させるには」など、今後活動していく上での検討課題が浮かび上がりました。意見の中には、ボランティアステーションに対する期待値の高さを思わせるものも多く、今後も神奈川のボランティア団体として、重要な役割を担っていくであろうことが感じられました。
このイベントの様子は、こちらのUstreamチャンネル内「「みちのくへ届け、かながわの想い」でもご覧いただけます。
http://www.ustream.tv/recorded/22879654
(横浜コミュニティデザイン・ラボ会員 池田智恵)
※かながわ東日本大震災ボランティアステーションは、神奈川県、神奈川県社会福祉協議会、NPO法人「神奈川災害ボランティアネットワーク」の協働事業。2011年4月から東日本大震災に関わるボランティアのコーディネートを続けている。2011年5月から岩手、宮城への「ボランティアバス」の運行を開始、これまでに約245台のバスを運行、神奈川県から延べ7,600人以上のボランティアを派遣している。
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http://www.hamakei.com/headline/6998/